■早く短く書く Chapter3 その51
似たような言い回しに注意する
・正しい表現を使えば文章の信頼性が高まる
日本語には、似たような意味の言葉がたくさんあるため、
文章を書くときに「どっちが正しい?」と迷うケースも少なくありません。
間違えないためには、それぞれの意味を正しく把握しておく必要が
あります。
【A】の場合、正しい文章は①です。 ②に違和感を覚えるのは、
文章の視点が「今」にあるにもかかわらず、「翌 (週)」が使われてい
るからです。
「翌」が使えるのは、過去か未来の一地点に視点を置いたときだけです。
「今」「今日」「今週」「今月」など、「今」に視点を置いた文
章を書くときには「翌」を使うことはできません。
【B】の「弊社」は自社を謙遜して使う表現です。 一方、「当社」に
は謙遜の意味はありません。 社内にて自分の会社を競合他社と比較
するときなど、対等な位置づけで表現していいケースで使用します。
取引先や顧客へのメールに「弊社」を使う一方、商品の宣伝など
不特定多数に向けた文章では「当社」を使うこともあります。
【C】の①と②はどちらも誤りではありませんが、意味が異なります。
「おざなり」は、「大雑把なさま」「中途半端なさま」を意味します。
① の場合、「(コンサルタントは) 仕事はするものの、その仕事ぶりが
大雑把だったり、中途半端だったりする」という意味です。
一方の「なおざり」は、「そのままの状態で放っておく」「避けて通る」
「必要な対応を怠る」というニュアンスです。②の場合、
「(コンサルタントは)仕事をせず、状況を放置する」という意味です。
※ 間違えやすい表現を覚えておく
【A】 ●①が正しい
① 今週は来客が多かったが、来週は少ないはずだ。
② 今週は来客が多かったが、翌週は少ないはずだ。
※ 視点が今なら「来」を使います
【B】 ●②適切
① 次回の会議ですが、当社からは西野が出席いたします。
② 次回の会議ですが、 弊社からは西野が出席いたします。
※ 自社を謙遜して言うなら「弊社」です
【C】 ●意味が異なる
① あのコンサルタントの仕事はおざなりです。
② あのコンサルタントの仕事はなおざりです。
※ 仕事ぶりが悪いなら「おざなり」仕事をしないなら「なおざり」です
【D】の文章で正しいのは、②の「言いづらい」です。 漢字で考え
ると一目瞭然です。「言いづらい」=「言う+ 辛い (つらい)」です。
辛いには「~するのが難しい」という意味があり、言うのが難しい
から、「言いづらい」なのです。「分かりずらい」「書きずらい」「動
きずらい」 「しずらい」等々、無意識に 「~ずらい」 を使っている
方は十分に注意しましょう。
【E】の場合、正しいのは②の「過ち」です。何かをしくじること、
やり損なうことをを「過ち」といいます。そもそも「誤ち」という
表記はありません。「誤り」と混同している人がいるようです。
【F】は、②の「新規まき直し~」が正しい表現です。種を蒔いて
も芽が出なかったため「種を蒔き直す」という意味です。転じて、
もう一度新しくやり直すこと。劣勢の状態から勢いを盛り返して反
撃に転ずる「巻き返し」と混同して使っている人が多いようです。
【G】で正しいのは ①の「脚光を浴びる」です。舞台に立つことや、
世間の注目の的となることを「脚光を浴びる」といいます。「注目
を集める」「関心を集める」と混同しないようにしましょう。
【H】で正しい表現は①の「ご教示」です。「教示」は、自分が知ら
ない知識や方法などを相手から教わりたいときに使います。一方の
「教授」は、学問や芸事、専門技術などを身につけるために、相手
から体系的・継続的に教えを請うときに使います。ふだん仕事で使
うメールでは「ご教示」を使うケースが多いはずです。
【I】では②の「雪辱を果たす」 が正しい言い回しです。「雪辱」は「前
に受けた恥をそそぐこと」という意味。すでに「そそいでいる」ので、
そのうえ「晴らす」必要はありません。「屈辱を晴らす」であれば
正しい表現です。
【J】の「お返事」と「ご返事」はどちらでもOKです。「お返事」
は和語(やまとことば) 風で、「ご返事」は漢語風です。女性は「お
返事」を使う人のほうが多いというデータもあります。
【D】②が正しい
① 言いずらい。
② 言いづらい。
【E】②が正しい
① 誤ちを隠していた。
② 過ちを隠していた。
【F】②が正しい
①新規巻き返しを図る。
②新規まき直しを図る。
【G】①が正しい
① 期待の新人として脚光を浴びる。
② 期待の新人として脚光を集める。
【H】①が正しい
① 作成の手順についてご教示ください。
② 作成の手順についてご教授ください。
【I】②が正しい
① デビュー戦の雪辱を晴らす。
② デビュー戦の雪辱を果たす。
【J】どちらでもOK
① お返事いただけますと幸いです。
② ご返事いただけますと幸いです。